天然香料の産地がなぜ重要なのか
「ベチバー」と一口に言っても、ハイチ産とインドネシア産では香りがかなり異なります。産地の土壌・気候・蒸留方法の違いが、最終的な香気成分の比率に影響するためです。調香師として産地を記録し続ける理由を説明します。
ベチバーの産地比較
ハイチ産ベチバーは、スモーキーで土っぽく、少し鋭さがあります。インドネシア産は同じベチバーでも、より甘くウッディで、鋭さが少ない印象です。Magic Redwoodでは「浦和の朝」にハイチ産を使っていますが、これはアーシーな方向性を意図しているためです。
同じ処方でインドネシア産に切り替えると、全体の印象が柔らかくなりすぎて、処方の意図が変わってしまいます。
サンダルウッドの現状
インド・マイソール産のサンダルウッドは、クリーミーで深みがあり、他の産地のものとは明確に異なります。ただし、マイソール産は供給量が限られており、価格も高い。オーストラリア産やスリランカ産も流通していますが、香りの方向性が異なるため、処方を変えずに代替することはできません。
「白檀の午後」の処方変更(2026年7月)は、この供給問題が直接の原因でした。
ローズアブソリュートの選び方
ブルガリア産ローズアブソリュートは、フローラルで蜜のような甘さがあります。トルコ産は少しスパイシーで、モロッコ産はグリーンな印象が強い。どれが優れているというわけではなく、処方の方向性によって選びます。
Magic Redwoodでは現在ブルガリア産を使っていますが、産地の変更があった場合は必ずウェブサイトでお知らせします。
産地を記録し続けるのは、同じ処方を再現するためです。原料が変われば処方も変わる。それが天然調香の現実です。